【Rakugo】第一回:江戸の風を運ぶ名人、十代目 金原亭馬生に酔いしれる
- 管理人

- 4月11日
- 読了時間: 3分
今日から新シリーズ【Rakugo】として、私の愛してやまない「落語」の世界について綴っていこうと思います。
「落語って難しそう」そんなイメージを持っている方にこそ、ぜひ一度触れてみてほしい。そこには、現代の私たちが忘れかけている「人間の愛おしさ」が詰まっています。
記念すべき第一回は、私が最も敬愛する名人の一人、十代目 金原亭馬生(きんげんてい ばしょう)師匠をご紹介します。
十代目 金原亭馬生とは
経歴
1928年:昭和の大名人・五代目古今亭志ん生の長男として東京に生まれる。
1943年:父・志ん生に入門。初代「古今亭志ん朝」を名乗り、若くして初高座に上がる。
1948年:二ツ目に昇進し、二代目「古今亭朝太」と改名。
1954年:真打昇進。若手時代からその実力と、父譲りの天衣無縫な片鱗を見せ始める。
1962年:十代目「金原亭馬生」を襲名。独自の「渋み」と「写実性」を追求する。
1970年代:落語だけでなく、俳優や俳人、画家としても非凡な才能を発揮し、文化人としても注目を集める。
1982年:食道がんのため54歳の若さで他界。弟の三代目古今亭志ん朝と共に、落語黄金時代を支えた。
主な演目
『笠碁』:意地っ張りな旦那二人の友情を描いた名作。
『親子酒』:酔っ払いの描写が絶品。
『船徳』:若旦那の世間知らずな可笑しみが光る一席。
『ざこ八』:馬生師匠ならではの情愛が感じられる演目。
馬生落語の最大の魅力は、その**「空気感」**にあります。 高座に上がって、羽織を脱ぎ、扇子を置く。その所作一つひとつに色気があり、話し始めると、そこにはもう昭和や平成の寄席ではなく、江戸の町の一角が立ち現れます。
派手な爆笑を狙うのではなく、登場人物の心の機微を丁寧に、そして少し突き放したような「粋」な視点で描く。その絶妙な距離感が、聴く者の想像力を心地よく刺激してくれるのです。
私のイチオシ
今回ぜひ聴いていただきたいのは、『笠碁』と『親子酒』です。
『笠碁』では、喧嘩をした友人が気になって仕方ない旦那の「可愛げ」が爆発しています。雨の中、相手の家の前をウロウロする仕草は、馬生師匠にしか出せない絶妙な可笑しみがあります。
意地っ張りにニヤリとする『笠碁』
そして『親子酒』。馬生師匠が演じる酔っ払いは、本当に美味しそうにお酒を飲みます。酔いが回ってトロンとした目つきになり、言葉が少しずつもつれていく様子は、まさに至人の芸。YouTubeでもその「酔い心地」をぜひ体感してみてください。
酔い心地に浸る『親子酒』
【Rakugo】まとめ
落語は、完璧じゃない人間たちが、そのままの姿で笑い飛ばされる優しい世界です。 十代目馬生師匠の高座は、そんな人間の弱さを、最高の「粋」というオブラートで包んで見せてくれます。
まずは一度、力を抜いてその語りに耳を傾けてみてください。きっと、江戸の風が吹いてくるのを感じるはずです。
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